料理を美味しそうに撮る方法

今回は私が普段撮ることもある料理撮影について書いてみます。最初に言いますが仕事で撮ることを想定しておりますので、自然光での撮影方法は書いておりません。あくまでストロボを使用したライティングです。

撮影準備と設定

F値、SS、ISO

後述しますがブラックボックスを作ることを考えると

F値 10前後

SS 1/250

ISO 100

だいたい目安としてこれくらいになるかと。ただカメラの基本設定は自分がどう撮りたいかによって変わりますから、ここはあまり参考にしないでください。

背景を大きくボカしたい場合はNDフィルターが必要になるかも知れませんし、料理の反射(テカり)を抑えるためにPLフィルターを使用するカメラマンもいらっしゃいます。

色温度は高く(赤く)

料理写真は色温度が高い方が美味しそうに見えます。簡単に言うとオレンジ色が強めの暖色か、青みが強い寒色か、料理が美味しそうに見える色温度は暖色となります。

ストロボの色温度はメーカーによって個体差はありますが、だいたい5500K前後くらいです。

それを考えるとカメラ側のホワイトバランスは6000K〜6600Kくらいに設定するとちょうど良いと思います。

カメラのプリセットを使用する場合は「曇天」「日陰」「太陽光」あたりが暖色系になりますので、そちらで撮ってみてください。

ブラックボックスを作る

ブラックボックス

設定を合わせたらストロボを焚く前にブラックボックスを作ります。

これはシャッターを押して撮れた画面が真っ暗になる状態を言います。

例えば部屋で撮っているなら、窓から入る自然光、部屋に付いた照明、カメラのストロボ、これら複数のライトが混ざると違和感が出てくるので、ストロボ以外の光の影響を受けないように露出の設定をしてください。

綺麗な料理写真を撮るためには光を色を統一することは極めて重要となります。

ライティングは半逆光

料理撮影のライティング

料理写真に最も適した光の角度は「半逆光」と言われています。つまり料理の斜め後ろから光をあてるということ。

料理の背後から光をあてることによって写真に立体感が生まれ、軽くレフをあてるとシズル感も出てきます。

自然光で撮影する時も同様、なるべく室内のライトを消して、窓際で撮るのがポイントです。

ちなみに私は趣味でカフェに行くのが好きなのですが、なるべく良い写真が撮りたいので窓際に座ることが多いです。

もちろん全ての料理において半逆光が適しているわけではありませんが、私の経験上最も多くのシーンで使えるのが半逆光です。

感覚ですが8割前後はこれで撮っている気がします。この撮り方を覚えるだけでかなり失敗する確率は減るので、ぜひ参考にして下さい。

そして最も避けるべきは順光です。つまり料理に正面から光をあてて撮ること。

全体に真っ直ぐ光があたり、のっぺりとして陰影もなく、どこか不自然で平面的な写真に感じたと思います。

今まで色んなジャンルの料理を数多く撮った中で、順光が適していたケースは一度もありませんでした。

半逆光 ←○
逆光 ←△
サイド光 ←△
順光 ← ×


半逆光+レフ ←◎

半逆光で撮ると、たとえディフューザーを付けても光が回ってない箇所の影が強くなってしまいます。なので軽くレフでおこしてあげるとよりバランスが良くなります。

私が今まで半逆光とレフで撮った写真はこちら
→ クリック

料理撮影のおすすめレンズ

中望遠の単焦点マクロが良い。

まず私のおすすめレンズからご紹介。

・タムロン90mm F2.8(タムキュー)

・シグマ105mm F2.8マクロ

・シグマ70mm F2.8マクロ

・キャノンEF100mm F2.8マクロ

・ソニーFE90mm F2.8マクロ

・ニコンAF-S 105mm F2.8マクロ

使用しているカメラマウントによって変わりますが、上記レンズは良いかと思います。焦点距離を見ていただければ分かる通り、中望遠の単焦点マクロレンズをおすすめしています。

理由としては「背景が綺麗にボケる」「歪みが少ない」「アップで撮れる(最短撮影距離が短い」などなど。

マクロは花の花弁をアップで撮ったり、小さな昆虫をアップで撮ったり、水滴をアップで撮ったり、何だか特殊な使い方なイメージがあるかも知れませんが、私は料理写真でガンガン使用しています。

ちなみに当記事に掲載している料理写真はタムロン90mmで撮影したものが多いです。

趣味の撮影ならどんなレンズでも問題ありませんが、仕事となるとクライアントへいくつも提案する必要が出てきます。

俯瞰で撮ったり、斜め45度から撮ったり、後述しますがお皿を切ってみたり、寄ってみたり、背景を大きくボカしたり、様々なバリエーションで撮り納品しなくてはなりません。

私の経験上ですが、上記のバリエーションを容易にこなすのは中望遠のマクロじゃないかなと感じています。

純正はちょっと高額ですがサードパーティなら10万円以内で買えますし、料理を美味しそうに撮るために1本は中望遠マクロを購入して良いのかなと思っております。

広角レンズは微妙です。

真上から撮影するなど使用せざるを得ないケースもありますが、基本的に私は70mm〜の焦点距離のレンズにしています。

広角レンズには歪みだけでなく「近くのものはより近く、遠くのものはより遠く」という特性があります。例えば料理撮影でお皿が斜めに2枚並ぶとなると、手前のお皿が大きく、後ろのお皿が小さく映ってしまいます。

あくまで私見ですが、焦点距離で言うと50mmはぎりぎり、35mmは微妙という感じです。

料理写真の基本構図

どんな撮影でも構図は大切です。料理をフレームのどの位置に置くか、いくつかレパートリーを持っておくとスムーズに撮影を進めることができます。

私も仕事で料理を撮る時もカメラの設定と、構図とアングルの組み合わせでいくつもバリエーションを撮り納品しています。

日の丸構図

料理写真の日の丸構図

料理を写真の中央に配置する構図です。特徴としては他の構図とは違い「視線が誘導されない」ことが挙げられます。

したがって料理だけしっかり見て欲しい場合と、料理に何が入っているのか情報を伝える撮影には向いています。

逆に「おしゃれ」「雰囲気が良い」写真にはなりづらいので、インスタなどSNSには不向きかも知れません。

もう1つ広告撮影においては加工・合成が前提となるケースもありますから、フォトショップでトリミングや切り抜きがし易いように日の丸構図で収めておくことも多いです。

注意点としては少しでも左右にどちらかにズレていると違和感が出てきますから、日の丸構図で撮るならきっちり日の丸で撮るようにしてください。

S字構図

料理写真のS字構図

お皿が2枚以上あるケースで使用することがあります。斜め(カーブ状)にお皿を配置し、曲線を作ることで動きと奥行きができるバランスが良い構図です。

私の場合は単品料理の撮影で、何となく背景が物足りないと感じた時に作ることがあります。

風景写真においてはS字構図を見つけることすら難しくなりますが、料理撮影であれば自分で作ることが可能ですし、今すぐ使えるテクニックなのでおすすめです。

C字構図

料理写真のC字構図

こちらは丸いお皿の端をフレームから切って、アルファベットのC字のように作るテクニックです。

料理撮影では割と定番の構図で、私もよく使用しています。C字構図で撮ると必然的に料理をアップで撮ることになり、まずはシズル感を出すことができます。

そしてお皿の曲線が作り出す美しさ、この2つのメリットが大きいです。オシャレで雰囲気が良く撮れることからインスタグラマーの間でも定番となっている構図。

もしカフェやイタリアンなどおしゃれな飲食店に行ったときは試してみてください。とにかく料理の一部分を切り取ってみると上手くいくかも知れません。

対角線構図

料理写真の対角線構図

これは料理のメインと副菜を斜めの対角線上に配置する構図です。

S字構図と同じく奥行きや動きを表現できると同時に、立体感と安定感が得られます。

もし単品料理を撮るときはメインの対角線に調味料やお酒・ドリンクなどを置いてみてください。写真がグッとおしゃれになるはずです。

料理写真の基本アングル

料理撮影においては構図と同じくらい大切なのがアングルです。撮る角度によって料理の印象も変わりますので、それぞれのメリットとデメリットを把握しておきましょう。

斜め45度(斜俯瞰)

料理を斜め45度から撮影

斜俯瞰(しゃふかん)は最も基本かつスタンダードなアングルです。

このアングルは私たちがテーブルに座り料理を見た角度。つまり人目線ということになり、素材の映り方や立体感をバランス良く表現できます。

私も色んな角度から撮りますが、まずは違和感のない自然なアングルである斜俯瞰から撮り始めます。

メリットの方が多いのですが、デメリットとしては「やや単調」になりがちなので、背景にお酒やドリンクを配置するなどの工夫が必要になることもあります。

斜め30度(ローアングル)

料理をローアングルから撮影

一言で説明するとローアングルから撮った写真ですが、料理に最も立体感とボリュームを与えるアングルとなります。

特に日本料理は盛り付けに高さを演出することが多いので、そのときはカメラがテーブルに付くくらい低く構えることもあります。

私が思う大きなメリットは店内を背景に使えるという点ですかね。単調な料理写真であってもお店の雰囲気をプラスすることで劇的に良くなります。

しかし深さのある器の場合は中身に何が入っているか分からなくなるので注意してください。

真上(真俯瞰)

料理を真上から撮影

俯瞰は全体を上から見下ろすようなアングルで、テーブルフォトなどオシャレに映したいときに適しています。

また料理にどんな素材が使われているか、弁当の場合はどんな料理が並んでいるのか一目瞭然で伝えることができるメリットがあります。

しかし高さや立体感は表現できないので、料理の種類によっては良さを消してしまう可能性があります。

例えば平たく盛り付けるリゾットの撮影には向いているが、ドーム型に盛り付ける町中華のチャーハンには向いていない。そんな感じです。

困ったらアップで撮ろう

料理を撮っていると必ず「パッとしない」「美味しそうに見えない」「何がメインなのか分からない」という壁にあたります。

特に定食だったりコース料理だったり、全体をまんべんなくフレームに収めようとすると出てくる問題です。(もちろん仕事ならバリエーションとして全体写真も撮ってください。)

私が撮った写真で比較して欲しいのですが、全体を映した写真と、メインとなる料理を手前に置いてアップで撮影した写真、どちらが美味しそうに見えますか?おそらくシズル感という点においては後者なのではと思います。

もちろん撮影内容によってはデメリットにもなりますけど、これくらいアップで撮れば素材の質感も伝えることができますし、背景をボカせば雰囲気もグッと良くなります。

しかしレンズには最短撮影距離というものがあります。今回のケースで簡単に説明すると「料理にピントを合わすことができる最短距離」のことです。マクロレンズはこの最短撮影距離が短いというのが特徴なので、どんなレンズでもアップで撮れるわけで注意が必要です。

レンズ名最短撮影距離
SONY 135mm GM0.7m
SONY 24-70 GM0.38m
SONY 70-200 GM0.96m
SONY 90mm Macro0.28m
TAMRON 90mm Macro0.3m
SIGMA 105mm Macro0.295m

中望遠レンズであればF2.8で撮らずともF5.6〜8の間で十分にボケます。私の場合は背景を大きくボカすことはせず、背景に何が映っているか分かる程度のF8前後で撮るケースが多いです。

撮った写真はその場でクライアントに確認してもらっておりますが、やはりアップで撮った方がリアクションは良いですね。

私の体感ですが9割以上の方がアップの方に喜んでいるような気がしますので、ぜひこの撮り方は覚えていただきたいです。

自然光はやめよう

自然光で料理撮影

「ストロボとか照明って必要?」

「ライティングって意味ある?」

みたいに聞かれることがあります。たしかにライティングの基本は自然光に近づけることだと言われておりますので、だったら初めから自然光を使えよという話になります。

ただし自然光にはデメリットがあり

・光に安定感がない

・時間によって変化する

・天候に左右される

仕事で料理を撮るなら上記のデメリットは致命的というか、ほぼ無理かなと思います。

例えば自然光は太陽が出ていないと成立しませんが、私が住んでいる山口県は年間の降水日数は108日、快晴日数が34日、つまり自然光で撮れる日数は限られるということ。

料理撮影はカメラマンだけでなく、飲食店側のスケジュールや、その他関係者(広告代理店のディレクター、出版社のライター、ホームページ制作のディレクターなど)の日程を調整して決めるものなので、カメラマンが「今日は雨天なので中止にしましょう!」とは言えませんよね。

しかしライティングができれば天候は関係なく、安定して撮影を進めることができます。

また仮に撮影日が晴天だったとして、午前10時から撮影を開始すると最低でも2時間はかかるはずです(1日がかりの撮影も多い)。2時間も経てば太陽の位置も移動しますし、光の入り方も変わっているはずです。

そういった意味でも自然光は安定感がないと考えられます。 自然光が絶対にダメという話ではなく、趣味で撮るならOKだけど仕事で撮るならライティングを覚えた方がいいよという、それだけです。

あと人工的に半逆光を作るにはカメラとストロボを離して使用する必要があります。ワイヤレスの設定が必要になりますので、それはまた別の記事で書きたいと思います。

まとめ

以上が料理を美味しそうに撮る方法の基本となります。全てを一度に覚えるのは難しいかも知れませんが、現場で経験を積めば自然にできるようになりますし、どんな依頼でも不安に感じることがなくなります。

今はスマホのカメラもすごく進化して、アプリで簡単に加工・合成が行えますが、今のところスマホ撮影には負けてないのかなと。ただ今後は少なくとも撮影スキルだけでなくデザイン力やコーディネート力も身に付けておく必要はあるでしょうね。

ちなみに私は飲食店さん向けに「月に一度定期的に撮影」してインスタ投稿を代行したり、Googleマイビジネス運用も代行しています。山口県内限定になりますが、もし興味のある飲食店さんがいらっしゃればご連絡いただけると嬉しいです。宜しくお願いいたします。

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